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サラリーマンが出世したい理由の1位は「昇進による昇給」だと勝手に思っていますが、今は資産運用等を行うことによって昇給分程度なら比較的簡単に稼げてしまう時代です。

最近はどの企業でもワークライフバランスという言葉が聞こえてくるように、「社内で人の上に立ちたい!そのために粉骨砕身で働くぞ!」みたいな人は本当に少なくなったように思います。

今40代後半以降の世代が仕事第一で生きてきた結果、家庭をぶっ壊したり出世コースから外れた瞬間にご自身がぶっ壊れたりしているのを目の当たりにすると、若い人はワークライフバランス重視になるのは当然ですよね。

そんな状況で出世による数少ない報酬である年収アップも本業以外の部分で賄えてしまえるとなったら一体全体どんな人間が出世したがるというのでしょうか…


トマ・ピケティは21世紀の資本でr>gであると説きました。

rは資産からの収益率、gはGDP成長率、個人で見ると賃金の上昇ペースとなります。

歴史的に見るとrは概ねgを上回っています。

そして運用額が大きくなるほど如実にこの差が大きくなっていきます。

商社マンや医師のようなハイペースで昇給していく(イメージです)高給職を除くと賃金の上昇ペースなんて本当にたかが知れています。

私の場合は年収650〜700万円ほどですが、ここから頑張って昇進して、さらに年功序列で昇給しても年収ベースで100万円〜程度上がれば御の字って感じです。

そこに鬼のような残業を行い、手当も加味すれば確かに40代後半で年収1,000万円は超えてくるでしょう。

でもそこまで頑張って年収1,000万円って旨味が少なすぎるんですよね。

だって運用の期待リターンが年5%あるのならここから追加入金を全くせずとも年収+運用益が出世し、残業しまくっているパターンに匹敵するか超えてくる可能性すらあるのですから。

運用額が1,000万円を超えてくると運用によるリターンが大きくなってきます。

2,000万円を超えてくるとほとんどのサラリーマンの昇給ペースを運用によるリターンが大幅に上回ることが期待できます。

そうすると俄然出世に興味がなくなってくるわけですね。

もちろん、運用しながら出世して年収を増やすというのがお金の面だけで見れば最強かもしれませんが昇進すれば半ば強制的な休日出勤や残業、会社のイベント事への参加などが当然のように出てくるため家庭や自分の時間が確実に減少します。

果たしてその状況が幸せなのかと言うと、少なくとも自分はそうではないんじゃないかなと思うわけです。


個人個人で見ると運用による収益とサラリーマンとしての収入でそこそこ稼げるなら特に出世を目指さずワークライフバランス重視の生活にするというのは最適解に近いのかもしれませんが、企業全体や国全体で見ると非常にマイナスの部分が大きいように思います。

単純に、競争の分母が大きくなければ有能な経営者や管理職は現れないからです。

50人の中から選抜するのと100人の中から選抜するのとでは100人から選ぶほうが優秀な人材は集まりやすいわけです。

社内政治に奔走するのは本末転倒ですが企業としては有能な人にはどんどん仕事を頑張ってもらって出世を目指してもらわないと困るのに自主的に出世レースからドロップアウトしてしまう人が増えるのは社会の損失でしかありませんね。


果たしてサラリーマンの出世欲を大幅に削いでしまうインデックス投資の存在は本当に正しいのか疑問に思います。

個別株やFXをやらせて大損させ労働に専念させたほうが熱心に仕事に取り組み労働生産性も上がるのかもしれません。