
私の勤め先は確定拠出年金(DC)を採用しているのですがさらに自分の給料から天引きされるマッチング拠出も行っています。
マッチング拠出はiDeCoのように全額所得控除の対象となります。
「所得控除もあるしマッチング拠出はやらなきゃ損だろ」とか思っていましたが退職金の額が退職所得控除を大きく超えるようになるとマッチング拠出もそこまでお得ではないなと思うようになってきました。
例えば
会社拠出 2万円
マッチング拠出 2万円
利回り(年複利) 5%
勤続年数 40年
退職金 1,000万
とした場合、DCは退職時に約5,956万円、さらに退職金1,000万円を合わせて退職金の合計は6,956万円となります。
ここから退職所得控除2,200万円を引いたりなんだりして手取り額を出すと約6,032万円となります。
約924万円が税金で持っていかれるわけですね。
運用益が非課税とはいえ所得税や住民税が結構でかいのです。
ではマッチング拠出をせずにその分の金額を特定口座で運用した場合はどうなるか検証してみます。
まずマッチング拠出なしでDCの2万円を上記条件で運用した場合、2,978万円となり退職金1,000万円を合わせて退職金の合計は3,978万円となります。
ここから所得税、住民税を引くと手取り額は3,745万円となりました。
次にマッチング拠出分の2万円を特定口座で20年間運用…と考えましたがマッチング拠出の場合は全額所得控除となるのでざっくり年間4.8万円の税制優遇があるとします。(年収によって変わるので平均年収くらいで計算しています)
この場合の正味の拠出額は毎月1.6万円となるので積み立てもこの金額で行うこととします。
40年間では積み立て額768万円、含み益は1,614万円、評価額は2,382万円となります。
税引き後は2,059万円です。
退職金手取り額を足すと5,804万円となりました。
マッチング拠出時は6,032万円でしたので228万円マッチング拠出時が有利となりましたが巷で言われてるほどDCが有利って感じでもないですね。
マッチング拠出では全額60歳まで資金拘束されることを考えるとそこそこの額を自由に使える特定口座での積み立ての方が有利だと感じる人もいるかと思います。
さて、DCやiDeCo以外にもつみたてNISAという有名な非課税制度があります。
つみたてNISAは20年間非課税で運用可能なので初年度から20年経過後ロールオーバー、2年目からまた20年、と計算していこうかなとも思ったのですが2024年からの新NISAにより恒久化が実現されるため全期間非課税で運用として検証してみたいと思います。
つまり
会社拠出 2万円
つみたてNISA→新NISA 1.6万円
利回り(年複利) 5%
勤続年数 40年
退職金 1,000万円
という条件です。
この場合、退職金手取り額は3,745万円、つみたてNISA評価額は2,382万円、合わせると6,127万円となりました。
・マッチング拠出なし、つみたてNISAで積み立て
6,127万円
・マッチング拠出のみ
6,032万円
・マッチング拠出なし、特定口座で積み立て
5,804万円
こうやって並べてみるとやっぱりDCやiDeCoが運用益非課税で所得控除ありでもそこまで有利という感じはしないですね。
退職金の額や確定給付企業年金の有無、勤続年数、所得控除の額など人によって大きく変わるので退職金が退職所得控除を大きく超えそうならiDeCoやマッチング拠出はせずにNISAや配偶者のiDeCoを使う方に優先し、それでも余力があるならiDeCoやマッチング拠出を行うなど色々考えてみても面白いかもしれません。
確定拠出年金はリバランス時に売却しても税金がかからないのでとりあえず枠を大きくしておいて資産全体のリバランス用に使うと割り切るのも面白そうです。
マッチング拠出やiDeCoの所得控除分を元から無いものとして積み立てるとかお財布次第で本当に色々な戦略が取れます。
こうやって見てみると若いうちから少額でも積み立てしておくことの威力を感じますね。
老後2,000万とか3,000万問題も20代から月に1万円、2万円積み立てておくだけでほとんど解決するのではと思います。
若いうちは貯蓄より経験とは言いますが結局老後にいくらかの資産を残したいと考えたら若いうちに有り金全部使って40代、50代から急に頑張るより長い時間をかけて少額を積み立てしたほうが遥かに負担が少なそうですし精神的にも楽なのは間違いないでしょう。
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