2023年02月

少し前ですが岸田政権の掲げる労働市場改革により賃下げやリストラが行いやすくなるのではという記事を見ました。

これとセットで転職をしやすくするために退職所得控除の改悪の可能性もあるようです。

一連の改革により以前から言われてきた「メンバーシップ型の雇用は崩壊しジョブ型雇用に移行する」という未来が俄然、現実味を増してきたように感じます。

同一労働同一賃金の言葉通り、何となく在籍しているだけで給料が上がっていく時代は終わりを迎えるのでしょう。

50代ならなんとか逃げ切り可能かと思いますが20代、30代はサラリーマン人生の何処かでこの改革による打撃を受けることは覚悟しておく必要がありますね。

能力の高い人にとっては転職しやすくなるし給料も上がりやすくなるのでウェルカムな施策となりますが自分のような学もなく能力も低い人間にとっては苦しい時代となりそうです。

いわゆる「マックジョブ(マクドナルドの店員)」と呼ばれる誰でもできる仕事というのはいつまでも残ると思うので最悪、リストラされたらそういう場所で働くという選択肢も考えておかなくてはなりません。

退職所得控除の改悪も痛いですね。

政府税制調査会は転職が進まない要因として勤続年数が長いほど優遇される退職所得控除が原因の一つと指摘しており、この退職所得控除の見直しを表明していました。

退職所得控除の改悪により控除額が大幅に減らされてしまった場合、場合によっては特定口座で運用して源泉徴収されるのと変わらないくらいの税金が引かれる可能性があります。

iDeCoや企業型DCの自分で拠出するタイプでは掛け金が全額所得控除となるのでかなり美味しい案件だったのですが元々退職一時金の多い大企業勤めの人などは完全に非課税のNISAで投資をしたほうがトータルで見たらマシだったとなりかねません。

シンNISAは1人1,800万円の枠があるので一般的なサラリーマンだとこれを埋めるだけでも精一杯となるでしょうし引き出しも自由となると不確定要素の大きいiDeCoの価値は低くなるのかもしれません。

具体案が出るまではマッチング拠出を継続しますがしばらくは要注目な案件かなと思います。

散々悲観的なことを書きましたがこれまではほとんど仕事をしない社員でも強力な解雇規制により守られていたところを流動的に対処しやすくするというのはいずれ必要になることでしたし、それによって日本経済が上向くなら投資をしている自分にとってのメリットもあるはずです。

最終的には恒常的に労働市場改革による年収低下分を上回る投資収益を出せるようになれば自分の生活としては変わらないわけでなんとかそこを目指していくのが一番現実的な手段なのかなと思います。

そうなるまで自社が旧態依然とした体質のままでいてくれることを祈るばかりです。

現代社会で生き残るための能力や意欲が人よりも劣っている人がそれでも人並みの人生を送りたいと思ったときに残された唯一の再現性の高い方法は節約と投資によりある程度の資産を築くことだと考えています。

常人よりも劣った人が人並み以上の資産を築くとは矛盾している様に聞こえるかもしれませんが、日本のような先進国なのに生活費も安く、さらに低コストのインデックスファンドに簡単にアクセスできる環境なら十分に可能なはずです。

もちろん、「100%間違いなく可能」とは言えませんがもっとも現実的な手段であるのは間違いないでしょう。

収入を得て節約しそのお金を投資するという本当につまらないサイクルをひたすら回していくことで"いずれは"自分の資産だけで生活できるようにすらなるのです。

「じゃあその"いずれは"っていうのはいつなんだよ」という話ですがこれには貯蓄率が大いに関係してきます。

貯蓄率とは手取りの収入からいくら貯蓄できたのかを表すものですが例えば年収400万円なら手取りは310万円ほど、ここから年間で155万円貯蓄できれば貯蓄率50%となります。

年155万で生活するとなると生活保護より厳しい生活が待ち受けていそうなのでこの年収の人が貯蓄率50%を達成するのは難易度が高そうです。

対して年収700万円なら手取りは520万円なので同じ貯蓄率50%でも生活に使えるお金は260万円となりだいぶ余裕が出てきます。

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(https://diamond.jp/articles/-/236816?_gl=1*1u9nh5s*_ga*YW1wLUN6S1k5YkZjSHNnVTg1SkxFOTN4OGlvWHJENEE0WVVVTHNha2RKLXZ6X3hsRnRNbWg1Z0dJdXY5Q1dyeVhNWC0.)

こちらのグラフでは貯蓄率と投資リターンによってリタイアまでの年数がどの程度変化するのか記されています。

貯蓄率50%なら自分の資産だけで食えるようになるのに10数年から20年ちょいかかるというわけです。

注意していただきたいのはこのグラフにある資産で本当にリタイアしてしまうのは結構危険というか精神的に不安定になるかもしれませんということです。

グラフからは貯蓄率50%で投資リターン2%の場合、リタイアまで20年かかることになっています。

つまり年間貯蓄額×25倍の資産で早期リタイア可能とし、リタイア後は4%ルールで取り崩していくことを想定しているのでしょうが生活費として取り崩す場合、利益には税金がかかりますし社会保険料等もじわじわと効いてくると思われるので3%ルールくらいで見込んでおいたほうが将来的に破綻する確率はグッと低くなるでしょう。

さて、ここまでまるでリタイアをする前提で話を進めているように見えますが自分はあまり若いうちからのリタイアには反対です。

よほどの事情がないのであれば仮にリタイアできそうな資産があっても仕事は続けるべきだと思います。

「じゃあなんで節約までして多額の資産を築くことにこだわるんだよ」という話ですがそれはもう単純に資産そのものが人生のリスクヘッジとなるからです。

私自身も含めてですが仕事に対して能力も意欲もない人間というのは若いうちは雇ってもらえても高齢になったときにリストラされたり賃下げされたりする可能性がそこそこ高いです。

いきなりそうはならないとは思いますが急速に変化していくこの社会で10年後、20年後も今と同じように雇ってもらえる保証は全くありません。

もしかしたらある業界では優秀な人でもその業界そのものが衰退してしまえば転職が難しくなるなどは十分に考えられます。

どんなに仕事のできる電話交換手でも自動交換機の登場によりその存在自体が不要になってしまったようにです。

ただ、どれほど社会が発展しても誰でもできる底辺の仕事は残されているはずです。

誰でもできるような仕事はキツくて給料も安いのが多いのでそこで今までの収入を得ようとすると地獄のような日々を過ごすことになりかねません。

しかし、節約によって少ないお金で生活することを身につけ、さらに資産からの収入もあれば「厳しい仕事だから週3日だけ働く」「給料は安くても良いので興味のある仕事に挑戦する」など人生を楽に過ごすための選択肢が増えます。

生活費240万円の人が資産3,000万円を運用しながら90万円を引き出しつづけると残り150万円を稼げば済むので週の半分程度バイトするだけでも生活水準を下げずに生きていくことができます。

これで人並み以下の仕事しかできなくても人並み程度の人生を送れそうな雰囲気がしてきました。

ちなみに我が家の貯蓄率は25〜35%ほどなのでめちゃくちゃ頑張っている方ではありませんが共働きであることや同年代よりは多い程度の資産を作れたことから今の状況を継続できれば良いのかなと考えています。

能力がない自分だから言えるのですが資格やら語学やらに力を入れるのはほとんどの場合で無駄というか徒労にしかならないと思っています。

資格を取っても今度はその分野の専門家たちと渡り合わなくてはならないわけで、それならいっそのこと趣味を極めて資格にとらわれない分野の力を高めたほうが有意義かなとすら思います。

何らかの勉強をするにしても今は大体のことならネットで勉強できるので本当にやる気があればお金をかけずにやれるはずです。

市販のテキストを買うくらいなら良いのですが高いスクールに入ったり通信教材を買ったり、人生経験だと言って何にでも手を出すと消耗し続ける一方となるでしょう。

能力がない人間はあれもこれもと追い求めるのではなく能力がないと自認して節約スキルを上げて貯蓄率を高め、運用によりなるべく早く財を築けるように頑張りましょう。

あと、完全にリタイアすることを想定すると莫大な資金が必要になるので仕事は続けつつ、まずは生活の足しになる程度のそこそこの資産を目指す方が気長に続けられて結果良い方向に転がってくと思います。

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私の勤め先は確定拠出年金(DC)を採用しているのですがさらに自分の給料から天引きされるマッチング拠出も行っています。

マッチング拠出はiDeCoのように全額所得控除の対象となります。

「所得控除もあるしマッチング拠出はやらなきゃ損だろ」とか思っていましたが退職金の額が退職所得控除を大きく超えるようになるとマッチング拠出もそこまでお得ではないなと思うようになってきました。

例えば
会社拠出    2万円
マッチング拠出 2万円
利回り(年複利)  5%
勤続年数    40年
退職金     1,000万
とした場合、DCは退職時に約5,956万円、さらに退職金1,000万円を合わせて退職金の合計は6,956万円となります。

ここから退職所得控除2,200万円を引いたりなんだりして手取り額を出すと約6,032万円となります。

約924万円が税金で持っていかれるわけですね。

運用益が非課税とはいえ所得税や住民税が結構でかいのです。

ではマッチング拠出をせずにその分の金額を特定口座で運用した場合はどうなるか検証してみます。

まずマッチング拠出なしでDCの2万円を上記条件で運用した場合、2,978万円となり退職金1,000万円を合わせて退職金の合計は3,978万円となります。

ここから所得税、住民税を引くと手取り額は3,745万円となりました。

次にマッチング拠出分の2万円を特定口座で20年間運用…と考えましたがマッチング拠出の場合は全額所得控除となるのでざっくり年間4.8万円の税制優遇があるとします。(年収によって変わるので平均年収くらいで計算しています)

この場合の正味の拠出額は毎月1.6万円となるので積み立てもこの金額で行うこととします。

40年間では積み立て額768万円、含み益は1,614万円、評価額は2,382万円となります。

税引き後は2,059万円です。

退職金手取り額を足すと5,804万円となりました。

マッチング拠出時は6,032万円でしたので228万円マッチング拠出時が有利となりましたが巷で言われてるほどDCが有利って感じでもないですね。

マッチング拠出では全額60歳まで資金拘束されることを考えるとそこそこの額を自由に使える特定口座での積み立ての方が有利だと感じる人もいるかと思います。

さて、DCやiDeCo以外にもつみたてNISAという有名な非課税制度があります。

つみたてNISAは20年間非課税で運用可能なので初年度から20年経過後ロールオーバー、2年目からまた20年、と計算していこうかなとも思ったのですが2024年からの新NISAにより恒久化が実現されるため全期間非課税で運用として検証してみたいと思います。

つまり
会社拠出    2万円
つみたてNISA→新NISA    1.6万円
利回り(年複利)  5%
勤続年数    40年
退職金     1,000万円
という条件です。

この場合、退職金手取り額は3,745万円、つみたてNISA評価額は2,382万円、合わせると6,127万円となりました。

・マッチング拠出なし、つみたてNISAで積み立て
6,127万円

・マッチング拠出のみ
6,032万円

・マッチング拠出なし、特定口座で積み立て
5,804万円


こうやって並べてみるとやっぱりDCやiDeCoが運用益非課税で所得控除ありでもそこまで有利という感じはしないですね。

退職金の額や確定給付企業年金の有無、勤続年数、所得控除の額など人によって大きく変わるので退職金が退職所得控除を大きく超えそうならiDeCoやマッチング拠出はせずにNISAや配偶者のiDeCoを使う方に優先し、それでも余力があるならiDeCoやマッチング拠出を行うなど色々考えてみても面白いかもしれません。

確定拠出年金はリバランス時に売却しても税金がかからないのでとりあえず枠を大きくしておいて資産全体のリバランス用に使うと割り切るのも面白そうです。

マッチング拠出やiDeCoの所得控除分を元から無いものとして積み立てるとかお財布次第で本当に色々な戦略が取れます。


こうやって見てみると若いうちから少額でも積み立てしておくことの威力を感じますね。

老後2,000万とか3,000万問題も20代から月に1万円、2万円積み立てておくだけでほとんど解決するのではと思います。

若いうちは貯蓄より経験とは言いますが結局老後にいくらかの資産を残したいと考えたら若いうちに有り金全部使って40代、50代から急に頑張るより長い時間をかけて少額を積み立てしたほうが遥かに負担が少なそうですし精神的にも楽なのは間違いないでしょう。

自分はインデックスファンドを購入する際、新興国は外すようにしています。

最初は「インデックス買うならならオルカンで良いや」とオルカンを買ってた時期もあり特に売却もせず放置してるのでポートフォリオ全体で見るとわずかながら新興国株も保有している状況ですが、途中からS&P500またはMSCI コクサイに連動するインデックスファンドを購入するようにしています。

個人的にはS&P500だけで良いと思っていますが確定拠出年金のからみでMSCI コクサイ(日本を除く先進国)をベンチマークとしたファンドも購入しています。

日経平均も非常に少額ながら積み立てしています。

個別株は日本株を売買することがあるのでさらに日本株インデックスも積み立てる必要はないかなと思ったのですが日本人として日本の成長に期待する部分もあるので気持ち分だけ買ってる感じです。

なぜ先進国ばかりかというと単純に新興国のマーケットを信用していないからです。(え)

株式市場からインデックス投資によって利益を得るためには健全なマーケットが必要なのですが新興国はまだまだ発展途上のためいま買う理由は特にないと考えています。

信用ならない国といえば中国やロシアがその筆頭なんですけど彼の国に健全なマーケットがあるとはとても思えないですし、他の新興国も多かれ少なかれ似たような感じなのかなと思います。(MSCI コクサイには香港も含まれていますが…)

ロシアはウクライナへの侵攻によりMSCI エマージングからMSCI フロンティアへと格下げされオルカンや新興国株式インデックスから除外となってしまいました。

元々オールカントリー(MSCI ACWI)には新興国株が12%しか含まれておらずロシアに至っては0.2%くらいしか含まれてなかったようなので特にロシアが転けたからどうなるとかは無いのですが、中国や台湾比率が高いのはちょっと気になりますね。

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ここ最近ではインドやブラジルなど株価指数の上昇率が高い国もありますが10年くらいのリターンで見るとMSCI コクサイにボロ負けしてます。

BRICsがもてはやされた時期もありましたがうまいことロシアを選択肢から外してインドや中国だけを買えたとしてもリターンはそれほど高くはありません。

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株価が上がる国をピンポイントで当てにいくのは極めて難しいというかそれができるなら最初からインデックス買って放置なんてまどろっこしい戦略なんか取りませんよね。

さらにピンポイントでうまいことインドやブラジルに投資をできたとしてそこに資産の何%を突っ込むことができるのかを考えるとせいぜい数%程度でしょうからそれらの国の株式から大きなリターンを得るのは(少なくとも自分には)非常に難しいと感じます。

リターンを押し下げるには十分な信託報酬の高さもネックとなります。

オルカンを買ってないと新興国の成長を取り逃すよって話は結構多く見かけますがMSCI コクサイとMSCI ACWIでは比較的長期で見てもMSCI コクサイが高いリターンを出しています。

MSCI エマージング(EM)とMSCI コクサイでは比較する期間によってどちらのリターンが上かはマチマチですがそれならあえてエマージングを選択する理由は特にないのかなと思うわけです。

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(https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=68930?pno=3&site=nli)

ちなみにMSCI WorldはMSCI コクサイに日本を加えたものですね。

もちろんこれから先、新興国株式がめちゃくちゃ強くなる可能性もありますがそうなったらそうなったで先進国株式の勢いも上がるはずです。

効率的市場仮説とかCAPMを考えるとオルカンのような大きな市場を丸ごと保有するのが正しいのは間違いないと思いますが、新興国の市場はまだまだ未成熟である(と感じる)のでしばらくの間は先進国株式のみの購入を進める予定です。

まあこの辺は宗教みたいなものでどっちの宗派が正しいとかは特にありませんから各々が買いたいものを買えば良いですね。

10年後か20年後にでも新興国を外すという選択がどういう結果をもたらしたのか答え合わせができればと思います。

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GPIFが2022年度第3四半期の運用実績を公表していました。

残念ながら今年度はまだマイナスですが運用開始以来では3.38%/年のリターンを出しているので非常に優秀です。

GPIFの過去のポートフォリオは株式比率が20%程度とかなり守りに入った運用だったのですが徐々に株式比率を上げていき、現在は50%程度となっています。

タラレバですが運用当初から株式比率が50%程度あったのであれば6%程度のリターンは出せたのではと思います。

6%を多く感じるのか少なく感じるのかは人それぞれですがポートフォリオの半分を債券にしてそれだけの利回りになるならかなり魅力的ではないでしょうか。

暴落時に怯えることもありませんし…

とかなんとか色々考えてみると個人投資家はGPIFみたいな運用で十分なのかなと感じてしまいます。


個人で運用する場合は債券や株式を組み合わせるよりキャッシュと低コストの広く分散されたインデックスファンドで十分と言われていますがGPIFのように国内株式25%、海外株式25%、国内債券25%、海外債券25%くらいで年に数回程度リバランスするくらいなら難しくないでしょう。

iFree年金バランスという投信ではGPIFの基本ポートフォリオに近づけた運用を行うようなのでGPIFの真似をするだけならこれを買って放置が一番楽で確実そうです。

日本のサラリーマンは強力な解雇規制によりクビになりにくいため自分自身が安定してお金を稼げる債券的な性質があると言われています。

であれば入金でカバーできそうな範囲で株式比率をGPIFより高めるのもありかもしれません。

今は入金分で個別株や債券等を買おうという気にはならず株式インデックスを買うばかりですが将来的には債券等も組み込んで増やすより減らさないを意識するターンが来るのだと思います。

横断的に市場を見ていけばお宝が落ちているかもしれませんし色々な資産の動向は軽くでもチェックし続けたいなと思います。




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